Enter The Void

1991, Tokyo. A trader from the country side. Book

年に一度の正念場 / エコーに映った楕円形の影

Teen age gangの頃から校内の誰よりもその日を恐れ、恐らく誰よりもその日へ向かって夢中に走っていた。年に一度の正念場。
それが私にとっての健康診断です。

ある種動物的の勘がそうさせたのか、私は下着をつけるときに乳房に触れることを頑なに恐れて避けて生きてきました。
何故ならある日突然指先に固い強張ったものが触れ、恐怖のドン底に陥ることが至極 恐ろしかったのです。
(実際十代の頃、猫に引っかかれて細菌が入り、脇にしこりができて真っ白になった経験がある。受験中の出来事だった為、余計にトラウマチックなのでしょう…。)

いずれにせよ十、二十代という若さで不可思議な強迫観念であることは違いありません。
しかし、今日までとにかくなるべく触れないように毎夜下着をつけ続けていたのです。銭湯でも。ジムでも。

だから、今日の検査で真っ黒な楕円形の影が検査画面に映し出されても、泣き出したい気持ちになりこそそれ驚くことはなかった。

2019年度の健診の案内が社内で回ってきた時、ちょっとした気まぐれな好奇心と向上心を起こして乳腺エコーと腫瘍マーカーを加えてみた。
基本的に糖質を脂質・タンパク質に置き換えて長年過ごしている私は、乳がん・大腸がんのリスクが高いことでしょう。
手遅れにならないうちに (こんな風に恐怖で体に触れないように下着をつけ外すような心持になる羽目にならないうちに)、検査をしておくに越したこたぁない。
臆病で神経質な自分の性格のことだから、今からやらなきゃやらないに違いない…。

それにしても、動物の勘は当たるものです。



誰の目にも疑えない楕円形のしこりがエコー画面に映し出されていた。

「あらこれって、しこりですかねえ?」


…分かっているのに明らかなことをとぼけて聞いてみる。
つんけんどんな看護婦から1 inchでも回答らしい回答を引き出したい不安な患者の妙技である。
セールスだ。押して駄目なら引いてみる。


「はい、しこりとは言っても悪性も良性もありますからあんまり心配しないでください」


駄目だこれは。
教育マニュアルをリピートするタイプの対応だ。
診断は悪魔で医師ということで、技師が所感を漏らすことは禁じられているに違いない…。



内側でマグマの様に燃えるパニック。
次の診察に呼ばれるまで、待合室で自分が絶望するべきか・希望をもつべきか確証をもたらしてくれるヒントを探してイロハもないネット上の情報を駆け回る。

心が落ち着き始めたのは会社にもどっていつもの作業をこなしながら、悪いなと思いつつスマホじゃないPC画面でエコー結果の資料を眺めてしまったときだった。
一般的に癌はエコーで明瞭に映らず、境界線をもたないかトゲトゲと細胞が硬化して映ると複数のページで読む。
平素通り要求仕様・ワカラナイ・デモ・主張・ユズラナイの一点張りのファッキンインド人に殺意を抱きつつ、平常通り業務を終えた。

いずれにせよ、泣けど笑えど診断結果はまだ届かない。
追加の検査だって受けてない。いずれにせよ、どんな結果であれ、善処する以外の道はない。

若年性乳がんは羅患者の5%を占めるそうだ。二十人に一人という割合を、私は非常に高く感じた。
みんなも受けて欲しいと心から願う。選挙・そして健診。Both of precious for your future!