Enter The Void

1991, Tokyo. A trader from the country side. Book

「私はもはや人生から期待すべき何ものも持っていないのだ。」

午前を過ぎてアパートへ泊まり込みにきた妹は、泣きつかれて眠る子どもの様に貧しい我が家で布団に沈んでしまった私を起こそうとしなかったらしい。そして私も、いつもと違って決して目を覚まそうとはしなかった。

 

数か月前まで足早に通ったストリップ劇場へ足が凍って動かなくなってしまった自分を自覚して以来、まるで石ころを当てられて尻尾を巻いて逃げているような切なさ、「ストリップを愛して楽しむお客さん」として精一杯の愛を返すことができなかったことへの挫折と悲しみが噴出していた。きっとステージへのお礼は目に見えるお金や物だけではなくて、そこで本当に楽しんで応援している人の弾ける感動や喜びでもあるんだと思う。そういう意味では、やっぱり私はストリップのお客さんたちの様にリラックスして笑って拍手することなんてできなかったなあ…しくしく…まずもう目を合わせて観るってまったくできなかったから、オープンショーの度にどんな顔してたら良いのか分からなかったし…。

 

しかし、昨日は大好きな踊り子さんが懐かしい劇場に出演していたので、ちょっと思い切って足をのばしてみたのだった。もちろん、既にあの世界から挫折してしまっている自分を理解していた時点で、予想していたことしか起こらない、というかできなかった。険しい顔、泣き出しそうな顔をしてそこにいるということは最もしたくないことだったけれど、そんな簡単にいいお客さんにはなれなかったよね…。

 

相変わらずストリップのお客さんにはなれねえなあ~~!と実感するのと同時に、本当にこのステージにときめいてきたんだなあ。と、今日までここに綴ってきたような悲喜こもごもの変わらぬ思いを実感することができて、勇気をだしてお邪魔して良かったのでした。

 

一年間迷い込んだ美しく燃える森。

そんな簡単に人生の背後の箪笥に仕舞い込むことなんてできないししたくない。

だからちゃんと赤子の様に泣いて向き合って帰りました。(笑)

だからここから先は今日までよりもずっと単純で、行きたいなら、元気なときに行けば良い!That is everything!

 

 

…だけど。

いつかそこで体を張って戦う人達が「ニコニコ観てくれて、真剣に観てくれて、良かった」って。そう思ってもらえるようなお客さんになれたら良いなあ~という理想も、いつものわたくしの様にスパーッとほっぽり投げたりはせずにただ静かに胸の奥の宝石入れにしまいこむことにしました。ちなみに私の心の鍵は大体壊れてます。以上、無敵に解決ッ!!

 

 

 

 

さて、そんなこんなで泣きつかれて眠るリーマンになっていた私ですが、それでも今朝は秋晴れとアラームと共にすっきり体を起こして、今日の読書会の課題本であるフランクル「夜と霧」を開いていました。(導入で1200字…。)

 

「私はもはや人生から期待すべきもの何ものも持っていないのだ。」これに対して人間は如何に答えるべきか。ここで必要なのは生命の意味についての問いの観点変更なのである。すなわち人生から何をわれわれはまだ期待できるかが問題なのではなくて、むしろ人生が何をわれわれから期待しているかが問題なのである。

 

すなわちわれわれが人生の意味を問うのではなくて、われわれ自身が問われた者として体験されるのである。人生はわれわれに毎日毎時間問いを提出し、われわれはその問いに、詮索や口先ではなくて、正しい行為によって応答しなければならないのである。

 

 

 終盤のこの言葉の為にフランクルは収容所での日々を綴り、分析したのではないかと思える。それくらい印象的な個所です。今日は吉祥寺にあるブックマンションの一角で読書会に参会しました。流石中央線、これまでの空気間とは一風違って都会的で洒落た上品な空気を纏った方々ばかりで…最初は委縮しかけていたのですが(笑)、読書会の魔法でお互いの意見を自由にディープに交わすうちにすっかりほどけてくる。年齢も立場も性別も超えた人たちを失礼ながらこんなに近しく、自然に好きになれる。「あ~!学生時代こういう人に出会いたかった~!」みたいに感じられるのって凄いなあと思いました。

 

特に私は若い男性との接点が少ないので、同世代の男の方が立派な教養溢れる都会的なビジネスマンになってたりするとびっくりしちゃうくらいだから、そういう部分も多少矯正されそうです。

 

 

ブックマンションはとっても面白い仕組み。月額4000円で本棚の一角を借りられて、誰でもすぐに本屋さんができるようになっている。考えてみれば私達がその辺の古本屋さんで仕入れた本を売ろうとしたら割高にならざるを得ないわけで商売上がったりなのですけど、ブックマンションから買うという楽しみに差額を払う人っているらしいよ。

もちろん自費出版物を置く人もいる。一日で作家になれちゃうってわけだな。

 

私は最近こういう貸し本棚タイプの本屋さん経営に興味津々です。

収益を、と思えば難しいけれど、「赤字になってもちっぽけな夢のビジネスを自分でやるんじゃ!」と思えば、それこそお金払ってでも積みたい経験だよ。ローリスクですから。互いにリスク、分散されてますからね。こういうリスク分散型、シェア型の生き方って時代に合っているし流行ってるんだと思う。

 

私は最近「ああ…私…私…もう絶対にいい女になろう…」と突然仏道への悟りをひらいたかの如く誓いをたてたのですが、いい女になりたかったならば引きこもっているばかりではなく、こうして素敵な人々にもんでもみまくってもらう必要性が限りなくあります。限りなくコスモの如くあります。もちろん、そこからまた発行熟成期間の引きこもりがはじまるんでしょうけどね。

 

 

 

 人間はこの苦悩の中にも一つの課題、しかもやはり一回的な運命を見なければならないのである。人間は苦悩に対して、彼がこの苦悩に満ちた運命と共にこの世界でただ一人一回だけ経っているという意識にまで達せねばならないのである。

 

----秘かに涙を流したりすることもあるであろう。しかし彼はこの涙を恥じる必要はないのである。むしろそれは彼が苦悩への勇気という偉大な勇気をもっていることを保証しているのである。