Enter The Void

1991, Tokyo. A trader from the country side. Book

密林の語り部

(考えたくもない現実が封筒のなかに詰まっていた。場末、契約更新か否か。家賃、安心サービス、保険、修繕費、クリーニング費…退去しようが留まろうが、恐らく10万は下さなそうだ。契約更新料って要するに初期費用のことだったんだなと今さら思う。ただし、どうせ同じ項目に支払うならbrand new dayを始めたくなるような新天地に支払いたい。)

 

担当業務が変わってというもの、かつてのゆとりが嘘のようだ。矢のように一日が終わる。本と銭湯の虫である私は空き時間の到来も恋しく、あっという間に一週間のサイクルが過ぎていく。大型連休を控えていると少し先に待ち換え前ているバカンスへの高揚感で走り抜けることができてやけに時の流れが速くなったりするけれど、まさしくそれだ。もう冬休みだ。

 

飽きっぽいのか欲張りなのか沢山の本に同時に手をかけてしまうので、読み止しの本が無数にある。埴谷「悪霊1」ドストエフスキー「悪霊 上」レミゼラブル3~5」「月は無慈悲な夜の女王」「三体」「チベット死の書」…冬休み中に終わらせたいものだ。

 

そんな最近、なんと遂に海外出張の話がきた。

いつ予定が入るのか見えず、主催の読書会がどうなってしまうのかハラハラしている。

 

この頃はまるで二十歳の夏へ帰ってしまったかのように夢中で本を読んでいる。

思えば味わいたかったこと、知り尽くしたかったこの世のことが湧き水の様に胸に溢れて、世界をひと舐めするだけでこの世を去らなければならない呆気なさに圧倒されてしまう。その世界の虚しいひと舐めの舌触りを確かなものにする為に、私は読んでは考えているのだと思う。