Enter The Void

最近はジャズとちひろさんに夢中です。

宇宙人たち

 

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 それがビジネスの為であろうと、次のバカンスの計画の為であろうと、明日のニュースの見出しに文句を吐き捨ててやる為であろうと何の為であろうと、既に自分が持っている体系とは異なる視座で物事を考えることを私たちが望むなら、恐らくそれは我々に新たな(往々にして、嫌気がさすほど膨大な)下積みを要求する。シンプルに言えば、次のレベルのアウトプットには次のレベルのインプットが必要になると言うことだ。

 

 

つきましては、今私は特売でワンコインで入手した読めないJames Ellroyを読むことを人生に要求されている。正しく言えばそう信じ込んでいる。いや、そう信じ込もうとしている。だって安さに踊らされて買っちゃったんだもん。Who is James Ellroy? 彼はアメリカのノアール文学、クライム文学の金字塔で、一昔前の作家だ。洩れなく我が家の納戸の本棚に積まれたまま埃を被って数年経過している憧れの作家の一人である。日本国内だけで見てもそれなりの多くの家庭の本棚で埃を被っているはずだ。Ellroyは著名な作家なのである。学生時代ホワイト・ジャズを二回借りて二回とも読めずに返したおぼえがある。そういえば私の会社のボスはジェフリー・ディーヴァーが好きらしい。エルロイもお好きかも知れない。コツコツ色々な英文に慣れていくしかないなと思う。重たい腰を1mm上げた。

 

私の仕事は相変わらずで、外国人・外資のちょっと宇宙人な人々と、化石の様な日本人との間の板挟みになって「なんでそんな簡単なこともやってもらえないんですかねえ!!」と文句を言われ、なんとか取り次げば外資の宇宙人から「あのぉ~アメリカはとっても対応が悪いので~(へらへら)」と返されたり、挙句の果てに約束を破棄された上に宇宙人から逆切れされる日々を送っております。毎日が文化的摩擦過ぎる。

 

そうかと思えば、基本の発注書ひとつ、メールの返信ひとつ返せない昭和でガテンでヤンキーなお客様(あ~あれあれこないだのあれ~あれおかしくなっちゃって~とreferenceひとつない無茶な電話をしてくるタイプ。外国人はevidenceがないと絶対に動かない)と、先進的な契約社会を生きる外国人の間で生じる絶望的な断絶の間にも挟まるので、鋼の心が何個あっても足りない。

 

私が新卒で昭和の遺物の様な会社に入ったころ、不安で仕方がありませんでした。

ソコソコ良い給料に飼い殺されて、のらりくらりと日々を逃げ切る男のどれだけ多かったことか。ビジネス感覚がないまま、職業人になり切れないまま、ままごとを繰り返すだけで年を重ねていく大人たちを見ていて、本当に恐ろしかったのです。

 

しかしこうして外国の会社に入ってみると、世界には日本人の半分以下の仕事をして倍貰っている人が山ほどいることに気づかされる。のらりくらりと日々を逃げ切るダメ人間たちは世界中で甘い汁を吸っているし、いやこれ、どうしたら、どんな半生を送ればこんなに日本語が不自由になるの?と目が点になるようなスーパー宇宙人が外資にゴロゴロしている現状にも気づかされます。ダメ人間 everywhere in the world

そうしてみると、自分の望む環境に当たる確率って低くて当然だと思うのですよ。世界は広いし、こんなにも場所場所によってカルチャーやシステムが違うしダメ人間は世界中にry だから。私が今の会社と巡り合ったのは奇跡的なことなのかも知れないな…と思わされる。

 

日本の問題のひとつに、合った環境に巡り合うまでのTry & Errorがしづらいことがあると思うのですよね。いつまでも合わない人をそのポストに置いておくのは本人、企業、顧客すべてにおいてloss-lossなのに、簡単には首を切れないようになっている。労働者も諸外国ほど気軽に動けないようになっているよね。こりゃ一体誰が得する仕組みなんだ?昔のムラじゃねーんだぞ。

 

諸外国ほど不安定で合理的が過ぎる働き方もいかがかと思う反面、日本ほどスローで硬直した社会もどうなのだろうと思う日々。恐らく、理想はそのin the middleなんでしょうね。取り合えずFaxは明日にでも廃止しましょう。効率、安全どちらの観点からいってもウン〇ですし、こんなものを使って平気で重要なやりとりをしたがるのはクレイジーとしか言いようがないよ、と愚痴ってみる。