晴耕雨読

早速縁切り寺の呪怨のご利益があったのか、あれから間もなく会社のパソコンが故障してデータが吹っ飛びました。なんでも突如ハードディスクが壊れたとか…。

 

無論社内のデータはサーバーに保管されているが、私が個人的に整理していた情報や個人のEメールのデータはぶっ飛んでしまった。さよなら、私の四年間…。入社して初日に海外支店に入社の挨拶のメールをして、色とりどりの(それもドギツイ、ピンクや水色。)メールの返信が可愛いフォントで届いた時の涙が出てくるような若い感動の記録も、消えてしまった。

 

思えば入社前の手続きに関する簡単なやりとりを会社の人としていた時、社員さんのメールが青字だったのでイチイチ返信の際にそれを黒に変えながら「なんで青なの?!イチイチ黒に直さなきゃいけないじゃん!」と思っていたことが懐かしい。「メールは黒でなければならない」と思い込んでいたのだ。喪服でもあるまいし、何色だろうと内容に関係ないのにね。今でも型抜きおにぎりみたいにリクルートスーツを着た子たちが街に溢れてるもんなあ。他の社員さんたちも口を揃えて言っているが、多分、我々の誰もとても日系では幸福にやっていけないだろう…。目的よりも、浪花節や形式を重んじる国では、きっと…。長い迷路が再び始まった気がしております。

 

 

それにしても、なんとかもうすぐ夏休みだ。

私はもう二年連続で青森まで青春切符で大冒険に行って呆れられているのですが、今年は母が「一生に一度は五能線に乗って恐山も見たい」ということで、上に渋い顔をされながら無理に仕事の休みをとったという。そういうわけで、三年連続で青森行きが決まりました…もう夏のルーティンやな…。水戸を超え、いわきを超え、仙台に辿り着いてまたトコトコなんとか鈍行で盛岡までたどり着いて、でっかい駅の前で煙草休憩をとって、雨で直ぐに止まる花輪線で大館までたどり着けるのかハラハラして…この無駄な長い旅程もすっかり愛してる。愛してるぅ~東北ぅ~。

 

それに、青森と言えば太宰治の出身地。五所川原を越えて津軽鉄道に乗ると、金木に彼の生家がある。だから、毎年夏になるとなんとなく東北出身の作家の作品でも読んでみようかという気になって、近頃も太宰治の作品をよく読んでいる。戦争で狂信的になっている時代を彼らしく見つめた文章も多く残っていて、彼は「人間失格だ無能なんだ」と酒を煽っているけれど真面目で純な感性をもった人だったんだなと意外に思いました。世間では、なんちゅうか、人間失格が流行り過ぎた所為で「自意識過剰で、若いやつむけの文学」くらいのイメージになっちゃってる気がするんだけど、全然違うよね。

 

でも、大地主の大豪邸に生まれついた彼が己を「百姓」と自負しているのを見ると、流石にひっぱたきたくなるよね(笑)金じゃなくて、東京と言う文化資本の高い気取った大都市のムードと比較して「自分は結局は田舎もんの百姓」と叫びたくなるんだろうけど、あんた、地域の人からしたら特権階級だよ…。ちなみにその出自の反動で左翼・共産主義に染まったこともあるそうですね。意外だったわ。

 

ということで長くなりましたが今年は金木の斜陽館に行きます。

 

相変わらず料理をして、畑で収穫して、何度誓っても酔っぱらって大量に本を買う悪癖が辞められない私は、何処か太宰治のダメダメっぷりに慰められています。