Enter The Void

最近はジャズとちひろさんに夢中です。

目抜き通り

銀座に春雨が舞う。澤野工房さんの書籍を読んだことをきっかけに、Jazz pianistの山.中千尋さんを夢中で聴き続けています。かつて都内まで仕事に出ていた父の唯一の日々のはけ口は、大都会の品ぞろえの良いCDショップに寄り道して買い集めるJazz CD、そして大酒だったよう。遺憾ながら気付けば娘も似たら寄ったらな二重生活を送っていますが、私の場合は都会の素敵な本屋さんに目を奪われては本をゴッソリ買い集めで電車に揺られる日々です。

 

その所為で、いや、おかげさまで、私も澤野工房さんの音楽だけは若い頃にも耳に残ってよく勝手に父のCDをパクってはパソコンに落として聴いておりました。そのコレクターの父も退職。身体もすっかり弱り、私もつられる様にJazzのことは忘れてしまい...(20代はThe InternetやRobert Glasper, Kendric LamarなどのNEO Black Musicの方に夢中でした)Chihiro Yamanakaさんは我が家では完全に「澤野工房の人」のままイメージが止まってしまっていたのです。なあああんて勿体ない!!!

 

そうしてこの度、書籍で読んで改めて気になって調べてみたら、今ではもう泣く子も黙るBLUE NOTEのアーティストで、向こうの大学の助教授と聞いて衝撃……我々の錆びついていた時計の針よ...。HUUUUGE LOSS!!!!

 

それからCihiro Yamanakaさんを延々と聴いているのですが、えっこの曲も素敵、ええっこの曲も、えええどれも素敵!!!なんだこの世界はーーーー!!!トルコ行進曲が何故こんな綺麗になるんだーーー!!!わーToday is another dayyyyyだーーーー(??)という感じで…懐かしい名前の載った本が出たからと軽い気持ちで表紙を開いてみたら、真新しい、素晴らしい世界への扉が開いてしまった気持ちです。そうか音楽に恋するってこういう気持ちを言うのかなと思いました。どんなに暗くて惨めな部屋にも、音楽の光は届くのです。

 

それで先日も銀座の山野楽器さんと教文館さん目指して仕事終わりにリュックで走ってしまった…ジャニーズに恋する女子高生さながらだな…すべては下記のコーナーに行きたかった故です…。

 

もーーのすごく本が好きな方で、ネットに上げている文章があんまり素敵で面白いから一気読みしてしまい、才能のスパークにあてられて、もう、寝不足。ある曲は大好きな坂口安吾から作ったとか。既に何作か文芸誌にも発表されているようですが、これからどんどん新しい世界を見せてくれるのかなと思うと本当に楽しみですよね。

 

「髪の毛なんてただのたんぱく質」とか、ブログの紹介文が「本名はよしお!」になっていることとか、ご自身の写真をあげる時に繰り出される謎の「#女装」タグとか…めちゃくちゃ美しい人なのにパンチの効いた興味深い発言が多すぎて、結局連日iPhoneにかじりついて寝不足。推し、わったびゅーてぃふるみすてりー…。

 

どっからどう見てもフェミニンなのに、どうして本名はよしおなのか、古参ファンのおじさまご存じでしたらご教授ください。(笑)

 

dot.asahi.com

(デザイン最高ですね!なんじゃこじゃ~!)

 

Yamanakaさんの記事は、本達のことが一杯でてきます。きっと、友達と今日どこへ行った、と書くように今日ね!こんな本を読んでてね!と自然と書きたくなってしまうような。大変不遜ながら、思わず「生まれて始めて同じ人見たわ~!!」という気持ちになってしまった自分がいます。放っておくと、ここも本達のことで埋まってしまうだろうから、無理矢理に別の話をしていたところのある私ですが、これからはもう素直に本の話で良いかなと思い出しましたww 結局、周波数を無理矢理他者に合わせてみようとすればするほど奇異になるんですよね。

 

しかし、これだけガッツリ本達と過ごすには、時間的には勿論 心の中にも広大な自分一人のスペースが必要だと思う。こんな忙しいだろう世界的なアーティストが、その自分だけの部屋をどうやって守ってるんだろう?と不思議で仕方がありません。でもきっと、創造をする方はそういう心の自由な秘密基地を大切にすることができるんですね。

 

今年は必ず彼女のLIVEに行こうと思っているのですが(調べたらついこないだ地元に来てた!!!こんな何もない!!!納豆の国にきてくれてた!!!あーーーーでもその時入院してたあああ!!!)、Jazzの世界は格式高いイメージがあるので、こんな池袋・新宿育ちのゲテモノが行って良いものか躊躇われます。天下のBLUE NOTEとか出禁??出禁では…?

会場が小さいことも多いようですから、尚更不要な自意識過剰を起こしてしまいます。「ゲイアイコンのような人をいいねしまくってるんだから絶対フレンドリーだよ!大丈夫!ww」と謎に励まされました…。

 

いや、でもねえ…と逡巡したところで、気にしていないつもりだったけれど過去の彼是に案外傷ついていたのかな…と思わされました。日常生活でも、不安を与えるのが怖いので、やっぱり小さくなっていたのかも。距離をとってばかり。ハイレベルな綱渡りみたいなもんで、疲れるんです。

 

そう!暫くYamanakaさんの天から降り注ぐ光の様な音楽に聴き入ってしまって全く読書が進まなかったのですが、今は遂に世界で一番長い小説・プルーストの「失われたときを求めて」を読みはじめた!!本好きとしては、遂にお前とやりあう時が来たか!という感慨深い気持ちですね。(笑)ちくま文庫の訳がどうしても合わなくてマドレーヌと紅茶のシーンにすらいけずに挫折したのが、思い切って岩波文庫に変えた途端にプルーストの世界に引き込まれてすいすいいけるようになりました…訳との相性はあるねえ…。岩波版は資料が充実しているので、古い異国の物語にもついていきやすいと思います。ソドムとゴモラ篇が読みたくて一体どんな世界が出てくるのか楽しみにしているんですけど、ソドムとゴモラ篇に入るまでにあと6冊ある…長いよぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

もしかすると楽しい筈の趣味にTOEICを持ち帰ったあの日と同じくらいのエネルギーを注がないとならないかも知れませんが、長編独特の付き合い方ができて良いですね。長編の中でも唯一無二の友達になると思います。日々に寄り添う癒しに。

 

やっぱりこの作品も、ちひろさんは読んだんだろうか。☺